【随想】Comic Market(コミックマーケット102)に初めて行ってみて思ったこと

コミックマーケット会場入口前 Essay

世界最大のオールジャンル同人誌即売会

2023年8月12日(金)13日(土)に東京ビッグサイトで開催された「コミックマーケット102」に行ってきた。

言わずと知れた世界最大の同人誌即売会である。

コミックマーケット公式サイト

私は、漫画やアニメに詳しいわけではない。

ただ、このイベントの何がそんなに人々を魅了するのか正体が知りたかった。

実際、オールジャンルの同人誌即売会ということで、一体どんなジャンルのものが扱われているのかこの目で見てみたかった。

コミックマーケットは同人誌を中心としてすべての表現者を受け入れ、継続することを目的とした表現の可能性を拡げる為の「場」である

ー「コミケットマニュアル」

急に思い立って行ったので、会場に着いたのは2日目の午後遅く。

さすがに2日目の午後遅くともなればすぐに入れるだろうと高を括っていたが、当日券を買う列が入口前に蛇行しながら駅までの道に続いていた。

遅々として進まない列の中で時間は刻々と過ぎるし、突然雨が降ったり急に日が照ったりして、入る前にもう帰りたい気持ちになったりした。

それでも、傘も差さずに一点を見つめるように待つ人や、明らかに遠い海外から訪れている人、このイベントに目的意識を持ってじっと順番を待つ人たちを見て、入場すればその理由がわかるはずだと思い直した。

ようやく入った会場は分散されていて、右往左往しているうちに目の前のサークルが店じまいを始めてしまうなど、結局全ての会場を見て回ることはできなかった。

しかし、ざっと見ただけでも、多種多様な趣味を極めている方たちの成果発表の場でもあるのだなぁと思った。

漫画・アニメ・イラスト・小説・音楽・ゲーム・デジタル作品などのオリジナル作品や二次創作作品はもちろん、グッズや雑貨、大学サークルや趣味の学術団体、個人やグループによる評論・情報・体験談(イベント・飲食物・医療・育児・園芸・ペット・鉄道・旅行・法律・軍事・メカ・乗物・スポーツ・おもちゃ・ガレキ・ハードウェア・通信・カメラ・芸能…)などの作品。
コスプレ(漫画・アニメ・ゲームなどのキャラクターに扮装すること)参加や企業ブースなどの出展もあった。

印象としては、成人向け同人誌の割合が高く、男性参加者の方が多い気がしたのだが、私の気のせいだろうか。

しかし改めて歴史を調べてみると、創成期の頃(第1回は1975年)は中高生の少女漫画ファンを中心とした女性参加者の方が多かったそうだ。

コミックマーケット創成期は少女漫画革新期

1975年時点における漫画界の閉塞状況の中で、時代の潮流として大型の同人誌即売会の開催が求められていたという。

下は、コミックマーケット創設者のひとりで、準備会二代目代表、米沢嘉博によるコミックマーケット創設経緯の抜粋である。

戦後マンガ世代による、運動体的マンガ活動は72年から75年にかけて、様々な形で起こり、活発化していった。その背景には、石油ショック後のマンガ雑誌の後退があった。[…]実験マンガや革新的な表現は誌面から消えていった。それはマンガの可能性を閉ざしていこうとする状況にも見えたのだ。そんな中、少女漫画において、萩尾望都、竹宮恵子を始めとする『COM』世代の新人たちの作品が、新たな可能性としてほの見えていた。これが75年の状況だ。

— 米沢嘉博「前史」『コミックマーケット30’sファイル』有限会社コミケット、2005年7月、26頁。

萩尾望都、竹宮恵子を始めとする『COM』世代の新人たちの作品がコミックマーケット創設の推進力となったのは、間違いないようである。

まさに1970年代少女漫画革新期の漫画で育った世代としては、今でもあの頃読んだ作品の印象が強烈で名作が多いと思うのは、こういう時代に生まれた作品だからかもしれない。

一部を挙げる。

・『アラベスク』山岸凉子
・『ベルサイユのばら』池田理代子
・『ポーの一族』萩尾望都
・『エースをねらえ!』山本鈴美香
・『キャンディ・キャンディ』原作:水木杏子 / 作画:いがらしゆみこ
・『トーマの心臓』萩尾望都
・『たそがれ時に見つけたの』陸奥A子
・『はいからさんが通る』大和和紀
・『はみだしっ子』三原順
・『悪魔の花嫁』原作:池田悦子 / 作画:あしべゆうほ
・『王家の紋章』細川智栄子あんど芙~みん
・『エロイカより愛をこめて』青池保子
・『風と木の詩』竹宮惠子
・『ガラスの仮面』美内すずえ
・『SWAN』有吉京子
・『砂の城』一条ゆかり
・『綿の国星』大島弓子
・『伊賀野カバ丸』亜月裕
・『あさきゆめみし』大和和紀

などである。

舞台が海外だったり、テーマやジャンルも、歴史フィクション、ファンタジー、スポーツ、ヒューマンドラマ、コメディ、タイムトラベル、ホラー、スパイアクション、少年愛(BL)、演劇、ダンス、忍者、古典など深く壮大なものが多く、今でも色褪せていない。

改めて読んでも、初めて読むのでも新たな感動を得られると思う。
若い世代にもおすすめだ。

コスプレイヤーならWORLD COSPLAY SUMMIT(世界コスプレサミット)もおすすめ

誰もが最も多感な時期に共感した漫画やアニメのキャラクターは特別な存在だと思う。

好きや憧れが高じて同化したいと思い、コスプレイヤーになる気持ちはよくわかる。

近所のテニスコートでは元気なシニア世代がほぼ毎日のようにプレイしている。
少女時代に『エースをねらえ!』の読者だったと思われるプレイヤーがほとんどだと思うので、祖母がテニス好きという男子コスプレイヤーは「宗方コーチ」で祖母にぜひ話しかけてみてほしい。

会話が弾むこと請け合いだ。

私自身、最新流行のキャラクターに明るくないということもあり、ちょっと懐かしい、マニアックなコスプレも見られるかもしれないコスプレ特化イベント、「世界コスプレサミット」の方が、もしかしたら幅広い年齢層に受けるかもしれないと思っている。

2003年から毎年8月、愛知県 名古屋市でに開催されている。

WORLD COSPLAY SUMMIT 2023

残念ながら今年はすでに終わってしまったが、コスプレ好きな人にとってはかなり見応えある企画だと思う。

日本のアニメ・マンガ・ゲームなどのポップカルチャーを愛する「コスプレイヤー」が集まり、新しい形の国際交流・ 文化交流を創造するイベントです。

ーWORLD COSPLAY SUMMIT 2023

まだ見ぬオリジナル作品を探しているならCOMITIA(コミティア)もチェックしよう

オリジナル作品にこだわる人は、オリジナル作品だけの同人誌即売会「コミティア」というイベントが、同じく東京ビッグサイトで年に4回(2月・5月・8月・11月予定)、また地方でも開催されている。

COMITIA 自主制作漫画誌展示即売会

コミティアとはプロ・アマを問わないマンガ描きたちが自主出版した本を発表・販売する展示即売会です。そこは、枠にはまらない自由で新鮮な個性を持つ作家が腕を試す自己表現の舞台であり、既製品に飽き足らない読者にとってまだ見ぬ、そして求めていたマンガを発見できる宝探しの山でもあります。

ーCOMITIA

誰もが表現者となり得るコミックマーケット

今回、俄か参加の私は準備不足もあり、残念ながらコミックマーケットを十分楽しめなかったと思う。

それでもイベントに行ったことで、全力で「好き」や「興味の対象」を追求し表現する人々のエネルギーに圧倒され、それを肯定的に捉えられるキッカケを得た気がする。

最近ではリアルではない新しいメディアで表現する機会も増えた。

しかし、この「場」でしか知りえない作品との出会いや、表現者同士、あるいは表現者と受け手との出会いで得られる感動と新たな創作へのモチベーションは何ものにも代え難い体験だと思う。

もしかしたらこのイベントを最も楽しむ方法は、サークルとして準備段階から参加することが最高の楽しみ方なのではないだろうか。

誰もがオールジャンルにおいて表現者となり得るコミックマーケット。

もしあなたが追求する「何か」があって、それがもし今いる環境で受け入れられていなかったとしても、このイベントに参加することで、国境やジェンダー、世代を超えてあなたの追求する「何か」に共感し「志」を同じくする仲間と交流できる「場」が生まれることは確かだと思う。

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