【随想】天にも地にも偏らない中庸でいたい

犬のイラスト Essay

先週、日が落ちて気温が落ち着いた頃、運動がてら近所の公園へ散歩に出た。

おばあさんが何か呟きながら犬とお散歩しているなぁと思ったら、犬に声を掛けながら歩いている。

明らかに犬に声を掛けているが、犬は聞いているのか聞いてないのか、時々、草むらの奥まで鼻を突っ込みながら前のめりで進んでいく。

おばあさんは、二歩進んで「ほいほいっ」、また二歩進んで「ほいほいっ」。

犬を鼓舞する体(てい)だけど、おばあさんを引っ張り気味に犬がどんどん進んでいってしまうので、明らかにおばあさん自身が自ら鼓舞しているような感じでもある。

もしかしたら犬を制するための掛け声なのかしら。

犬も「ほいほいっ」が聞こえている間は、おばあさんが後ろからちゃんとついてきていることがわかるので、安心して自由に探検しているのだろう。

掛け声は、コンビの合いの手なのかもしれない。

そのまま仲良く「ほいほいっ」と去っていってしまった。

仲良しコンビを見送った私は、ぐるりと公園を歩いた後、凝り固まった身体を伸ばそうと誰もいない健康遊具のロープに飛びついてみた。

が、そのまま隣のロープに手を伸ばしたところで堪えきれずに手を放した。

思いのほか体力が衰えていたようだ。

改めて昨日公園へ行ってみたら、健康遊具のロープが新調されている。

偶然、取替えの時期だったのか、どこかの大人がロープにしがみつき、急激に劣化の兆しが見えたからだろうか。

劣化原因の不安におののき、今回は頑丈そうな高鉄棒にぶら下がることにした。

足を宙に浮かせてみる。

天にも地にも偏らない中庸でいたい。

なのに、全身が重力で日に日に地に近づいている。

ほんの少し身体を揺らすだけで、棒に掴まっているのがやっとだ。

懸垂、それはどういうことだろう? 背中に翼があるということ?

子供の頃、雲梯(うんてい)を身軽に移動していたたことが、我ながら信じられない。

数センチ(!)メートル下の地上に降り立ち、改めて自分の重みを実感したその時、老夫婦に連れられたダックスフンドが、目の前を軽やかに通り過ぎていった。

私を「ほいほいっ」と鼓舞するような足取りで…

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